世界は美しいと言わせてほしい

白い職業服を纏って
看ているのは他人の親
はるかに長生きな高齢者たち
死にたいと元気な声で言われ
不味いわと確かな嚥下機能をもって言われる
私のかける言葉の優しいこと
なんと滑稽なこと

苦しまなければ生きられないし死ねないのか
五体満足にあの世に行くのは、そんなに難しいことなのか
今まで看取らせてもらった人たちの体の美しいこと、優しいこと
凄惨な労苦とあの一時を一生後悔する絶望の最中に向き合う家族の捨身の姿を思い出す
夜中の散歩の、あの時間
足音は心のひしゃげる音のよう
安息は、どう
美しい朝陽が差し込んでいることを願う
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